赤間硯

 古来より中国、日本では筆、墨、硯、紙の四種を「文房四宝」といい、特に硯を中心として文房具を愛蔵してきました。硯が文房四宝のうちでも長命であり、寿であるといわれていることも、長く愛用される故でしょう。

 

名前の由来

 山口県厚狭郡山陽町の古刹清安寺の目白不動明王のご縁起によれば、往古山陽町原の住人、仁左衛門が明王の霊夢によって硯石のあることを知り、その石で硯を作り藩主毛利公に献上し、公許を得て諸国に売り広めた。硯の原石(赤色性頁岩(ケツ岩)が、酸化鉄等が含まれているため石色が赤味を帯びていることから赤間石と呼ばれており硯も赤間硯といわれるようになった。一説には、下関の赤間ヶ関にて主に販売されたため赤間硯と呼ばれるようになった、ともある。

 

歴史

 爾来、硯石は中国より多く輸入されていたが、平安朝末期ごろ宋朝の没落により国内産石が脚光を浴びるようになった。鎌倉の鶴岡八幡宮に、源頼朝公が奉納した金蒔絵物の硯箱に収められている硯が、赤間硯であり約八百年の伝統がある。江戸期には、長州藩の公許なくしては硯石材を採掘できず容易には得難い、藩の特産品でした。

 

特徴

  造るに際しては、石質が堅く緻密で石眼や美しい紋様があり、しかも粘りがあるため細工がしやすく硯石として優れた条件を持っています。 使うに際しては、磨墨・発墨が良く、得墨も早く、さらっとのびのよい墨汁を得ることができます。

 

硯の種類

  • 角硯、丸硯:端正な美しさと重量感のある実用を兼ねた愛好品です。
  • 野面硯:原石の形を生かし、大胆な造形と自然美に趣があります。
  • 彫刻硯:簡素なものから精緻なものまで幅広い。伝統的なけいしきを守りながら伝承された技巧をあますことなく表現しつつ、時代の特徴や傾向も如実に示している観賞上もっとも美しいものです。
  • 蓋付硯:その名のとおり蓋のある硯で、彫刻を精緻にほどこしたもっとも魅力のある細工です。

 

製造工程

 原石の採掘 → 原石の選択 → 縁たて → 荒彫 → 加飾彫(浮かし彫、毛 彫、たたき彫等) → 仕上げ彫 → 磨き → 仕上げ(うるし)等の十数工程

 この作業工程や、技術、技法は古来より現在もほとんど変わっていません。師匠や親ゆず りの技術で幅二ミリから十ミリ程度の「のみ」を使い、代々造り続けられています。

 

Q&A

Q:名前の由来は?
A:すずりの原石が赤みを帯びているので赤間石と呼ばれていることから、すずりも赤間硯と呼ばれるようになりました。また、下関の赤間ヶ関にて主に販売されたため赤間硯と呼ばれるようになったとも言われてます。


Q:赤間硯の原石は?
A:硯の原石は、赤色性頁岩(ケツ岩)で、酸化鉄等が含まれているため石色が赤味を帯びています。


Q:一日に何個作れるの?
A:種類によって違いますが、簡単なものは1週間足らずで精緻な彫刻を施すものは数十日はかかります。


Q:原石はどこで取れるの?
A:赤色性頁岩のある近くの山で、坑道を堀り、黒色火薬で岩にヒビを入れ、
電器ドリルで採掘します。坑道は、高さが1メートル強で深さは数十メートルあり、大変な作業です。

  

お問い合わせ
 山口県赤間硯生産協同組合
 山口県宇部市大字西万倉793番地
 電話・FAX 0836ー67ー0641
 組合長 日枝 敏夫まで